ヤクルトとピルクルは同じ乳酸菌飲料であり特定保健用食品です。
じゃあ「どっち飲んでも同じじゃないの?」と思われる方が多いと思いますが違いは間違いなくあります。
ヤクルトとピルクル、何が違うのか記事にしました。
Contents
ヤクルトとピルクルの比較|何が違うのか?
結論から言えばヤクルトは効果効能に対する掘り下げ能力がピルクルと比較して圧倒的に凄いという違いがあります。
まずは簡単にヤクルトとピルクルの違いを表にしてみました。
商品名 | 製造販売会社 | 菌の種類 | 容量 | 乳酸菌の数 | 発売日 | 価格(税別) |
NEW ヤクルト |
(株)ヤクルト | L.カゼイ菌 (YIT 9029) |
65ml | 200憶個 | 1935年 | 40円 |
ピルクル | 日清ヨーク(株) | L.カゼイ菌 (NY1301株) |
65ml | 150憶個以上 | 1993年9月 | 約20円 |
ヤクルトから発売されているヤクルトブランドの商品は多数ありますが、いずれも含有されている乳酸菌は同じで、「乳酸菌シロタ株」が使用されています。
例えば上記の表に掲載した「NEWヤクルト」の倍の乳酸菌が含まれており、値段も倍の「ヤクルト400」等のラインナップもあります。
しかしここではピルクルとの比較対象のため「NEWヤクルト」を選んでいます。
「NEWヤクルト」はコンビニやスーパーで買える皆様が最も良く目にする商品ですね。
ピルクルは500mlの商品が販売されているのを良く見かけますが、65ml入りの商品がスーパー等で販売されています。
こちらもヤクルトとの比較のために65mlピルクルを基準として表を作成しました。
この表を見て単純に「乳酸菌の数がヤクルトは少し多いけど、値段が倍ほど高い。どう考えてもピルクルの方がお得でしょ。」と思われるかもしれません。
確かにその通りなのですが、実は最も重要なのは菌の種類です。
その理由を説明していきます。
ヤクルトとピルクルに何を求めるのか?
皆さんはヤクルトとピルクルをコンビニで見かけた時、何を基準に選ばれていますか?
ヤクルトとピルクルはどちらも甘くて美味しいよ
ピルクルは美味しい。
私はコンビニで500mlのパックを購入して一気に飲み干してしまいます。
1パック130円くらいで販売されているのでジュースを飲むのと同じ感覚ですね。ピルクルの1日目安量は65mlであるのにも関わらず。
ヤクルトも甘くて美味しいですよね。
でもヤクルトはパック販売をしていませんし、65mlじゃ飲料としては量が不足しています。
とこんな感じでついついピルクルを飲んでしまいます。
乳酸菌飲料に美味しさを求めるならそれで良いでしょう。好みの問題で好きなほうを飲めば良いと思います。
でもこの記事では味に焦点を当てるのではなく「乳酸菌が発揮する効果」について比較していきたいと思います。
ヤクルトとピルクルはどちらも「おなかの調子を整える」
ヤクルトとピルクルは特定保健用食品(トクホ)です。
特定保健用食品とは食品の効能を謳うにあたりその根拠となる資料を提出し、消費者庁の厳しい個別審査を経て得られる称号です。
実験データに基づいて審査を受け、健康づくりのための食習慣改善のきっかけとして「~が気になる方に」という効能効果を表示することを日本政府から認可された食品。通称「トクホ」「特保」と呼ばれる。健康増進法に基づく特別用途食品に含まれる。
Wikipedia特定保健用食品より引用
つまりヤクルトとピルクルは国が認めた効果があるわけですね。
それは何か?
「おなかの調子を整える」ですね。
ヤクルトもピルクルも特定保健用食品で「おなかの調子を整える」ことを謳って販売することを国から許されています。
「あれ?じゃあヤクルトもピルクルも結局同じじゃないの?」と思われたでしょう。
実はヤクルトは薬機法上の制限で効果効能を謳って販売することはできませんが、日々ヤクルト飲料の臨床検査を行っており様々な効果があると推察されるのです。
ヤクルトはピルクルよりも乳酸菌の研究が進んでいる
ではヤクルトと日清ヨークはそれぞれ自社商品に対してどのような研究を行っているのかを見ていきましょう。
ヤクルトは研究結果をHPで公表している
まずはヤクルトの研究開発のページをを見てみましょう。
ヤクルトは病院や研究機関と連携を行っており、ヤクルトに含有される乳酸菌「シロタ株」に関する臨床検査の結果を公表しています。
ヤクルトは食品である以上その効果効能を国の許可なく謳うと薬機法違反となります。
しかし商品名を入れずにHP上で乳酸菌シロタ株の研究結果を事実として公表することは薬機法違反にはなりません。事実を公表しているだけですから。
ヤクルトのHP上の研究結果をまとめると次のようか効果があることが明らかとなっています。
- 抗体の過剰生産抑制による花粉症予防
- 癌(大腸がん・膀胱がんなど)の発生予防
- 免疫力を高める(NK細胞活性化)ことによる感染症の予防
- 高血圧の予防
ヤクルトの研究では、例えば表在性膀胱を切除した患者に対してシロタ株を含むヤクルトを摂取してもらい再発率を集計するといった研究が行われています。
このように直接的に効果を謳うことはできませんが、「ヤクルトは体に良い」という研究結果を積み重ねることでヤクルトブランドは構築されているのです。
ピルクルは研究自体を行っていない?
一方でピルクルはどうでしょうか?
日清ヨークはピルクルに含有されているL.カゼイ菌(NY1301株)に対する研究、つまりピルクルの効果効能を掘り下げるようなことはしていないようです。
日清ヨークは日清グループのHP上で「乳酸菌の健康効果」とうページを設けています。それによると乳酸菌には次のような効果があることを謳っています。
- 感染防御作用
- 発がんリスク低減作用
- 免疫調節作用
- コレステロール低減作用
- 美容効果
このページを見るとピルクルもヤクルトと負けず劣らず上記効果があるように思えます。
しかしページの下をよく見ると何か書いてあります。
「参考:一般社団法人 全国発酵乳乳酸菌飲料協会」と記載されていますね。
では一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会のHPを見てみましょう。
そこには乳酸菌に関する様々な情報が掲載されています。
例えば発がんリスクの低減作用のページ。
「ある種の乳酸菌が発がんリスクを低減させる」と書かれており、膀胱がんの再発抑制に関するグラフが掲載されています。
ん・・・?
このグラフさっきのヤクルトが行った研究結果と全く同じグラフじゃないですか!
つまり
- ヤクルトが膀胱がんに対する乳酸菌シロタ株の研究を行う
- 社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会が「乳酸菌の効果」としてヤクルトの研究結果をHPに掲載する
- 日清ヨークが「乳酸菌にはこんな効果がある」と自社HPに掲載する
という流れが見て取れます。
ヤクルトとピルクルの乳酸菌は株の種類が異なる
日清ヨークがHPに乳酸菌の効果を掲載しているため、ピルクル=乳酸菌含有商品であることからピルクルには発がんリスク低減作用や免疫調節作用があるのではないかと思われるかも知れませんが、そうとは限りません。
乳酸菌には多数の種類があり菌の種類によってその働きは異なるからです。
例えば陸上選手が100mを10秒で走れたとしても「人間」全員が100mを10秒で走れるというわけではありません。
乳酸菌も同じです。
ヤクルトの乳酸菌シロタ株に発がんリスク低減作用があったとしても、「乳酸菌」すべてに発がんリスク低減作用があるわけではありません。
これがピルクルとヤクルトの最大の違いです。
ヤクルトは「おなかの調子を整える」以外にも我々の健康にどういった作用を乳酸菌シロタ株が行うのかを研究し報告しています。
研究の中には医療機関や大学などと連携しているものもあり、ヤクルトのシロタ株が実際に臨床で利用されている例もあるのです。
しかし日清ヨークはピルクルに含まれるL.カゼイ菌(NY1301株)に関してそうした研究をしている様子はありません。
ピルクルに含まれるNY1301株が病院で使用されている事実は恐らくないでしょう。
ひょっとしたら実はピルクルのNY1301株にもヤクルトと同様(ひょっとしたらそれ以上の)効能があるのかもしれませんが、日清ヨークその掘り起しを行っていません。
ヤクルトはシロタ株が「体に良い」ことのエビデンスを積み重ねる一方、ピルクルのNY1301株は「おなかの調子を整える」以外に「体に良い」ことを実証できていないということになります。
ヤクルトとピルクルの違いまとめ
簡単に言えば「ヤクルトはピルクルよりも健康に対するエビデンス(根拠)の掘り下げが凄い!」ということになりますね。
そもそもヤクルトは医薬品の製造販売も手掛けている会社であり、病院などとパイプを作りやすい環境にあり、臨床検査のノウハウも持っているはずです。
日清ヨークは日清食品のグループ会社ですが、日清食品は医薬品の事業部を持っておらず、あくまでピルクルを食品として捉えているためヤクルトのような研究ノウハウが無いのではないかと推察されます。
とは言え少なくともピルクルには特定保健用食品として国が認めた「おなかの調子を整える」効果はあるわけで、私のように「ピルクル好きだから」という理由だけでピルクルがぶ飲みするのもお腹の調子が整えられて素晴らしいことだと思います。
この記事が商品購入の際の手助けになれば幸いです。
またヤクルトの詳しい効果については別途記事を書いています。
参照いただければ幸いです⇒ヤクルトの乳酸菌を飲むと体に何の効果があるのか?