ヤクルトの主力製品と言えば、ヤクルトです。
また「ミルミル」という商品が2005年以来14年ぶりに復活し、CMが頻繁に行われるようになりました。
果たしてこのヤクルトとミルミルはダイエットに適した食品なのか、また適しているならその理由は何なのか?
まとめて記事にしました。
Contents
ヤクルトとミルミルはカロリー高いけどダイエットできるの?
ヤクルトの主力製品であるヤクルトとミルミル。
ヤクルトの乳製品はダイエットに適しているという噂をSNSで聞き、果たして本当なのかと思い調査をしてみました。
実はヤクルトとミルミルは、カロリーが思ったより高いんです。
概要を表にしてみました。
商品名 | 菌の種類 | カロリー | 内容量 | 値段(税別) |
NEWヤクルト | 乳酸菌シロタ株 | 50kcal | 65ml | 40円 |
NEWヤクルトカロリーハーフ | 乳酸菌シロタ株 | 25kcal | 65ml | 40円 |
ミルミル | ビフィズス菌BY株 | 88kcal | 100ml | 100円 |
ミルミルS | ビフィズス菌BY株 | 49kcal | 100ml | 100円 |
「NEWヤクルト」と「NEWヤクルトカロリーハーフ」はスーパーなどでよく見かけるスタンダードな商品です。
「ミルミル」も同様にスーパーなどで販売されている商品ですが、「ミルミルS」は宅配専用商品なのでヤクルトレディから購入するしかありません。
「NEWヤクルト」と「ミルミル」はそれぞれカロリーが50kcal、88kcalであり、コカ・コーラが100mlで46kcalであることを考えると、内容量65mlの割にはカロリーが高いと言えるでしょう。
一方で「NEWヤクルトカロリーハーフ」は25kcal、宅配専用の「ミルミルS」は49kcalとカロリーが抑えられるので、ダイエット目的でヤクルトやミルミルを摂取する場合はNEWヤクルトカロリーハーフまたはミルミルSを選びましょう。
ミルミルとヤクルトでダイエットするための前知識
ヤクルトとミルミルの摂取カロリーはこのように高いので、カロリー面に焦点を当てるとダイエットに適した商品とは言えません。
しかし結論から言えばヤクルトやミルミルはダイエットに適した食品であると言え、この記事ではなぜそう言えるのかを解説していきます。
腸内細菌の種類と分類
実はヤクルトとミルミルを摂取することがダイエットに適していると考えられるのは、それぞれに含まれる菌(乳酸菌とビフィズス菌)の働き方です。
ヤクルトとミルミルが我々の体内でどのように働くかを理解するには、まず腸内細菌の種類についてお話をしておかないといけません。
人間の体内に存在している腸内細菌は数百種類を超え、その数を合計すると100兆個程度あると言われています。
膨大な数の細菌が腸内に存在しているのですが、その細菌を分類すれば人間の体重に影響を及ぼす菌が見えてきます。
細菌を含む生物の分類は次のように大きな区分から小さな区分へと細分化していきます。
ドメイン→界→門→網→目→科→属→種
例えば人間の場合は次のように細分化していきます。
真核生物(ドメイン)→動物界(界)→脊索動物門(門)→(中略)・・→ヒト(種)
人間の体重に影響を与える腸内細菌は主に2種類
腸内細菌を分類すると人間の肥満(ダイエット)に影響を与える「門」は2つに絞ることができ、それは「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門(ファーミキューテス門)」です。
日本内科学会雑誌104巻4号「腸内細菌叢と肥満症」によれば「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」の腸内細菌と肥満の関連性が次のように指摘されています。
肥満マウスでは正常マウスに比してバクテロイデテス門に属する菌が少なく,ファーミキューティス門に属する菌が多いことを報告した.ヒトの肥満者でも同様に検討を行い,マウスと同様の腸内細菌叢の偏りが認められ,種を越えて体脂肪の過剰な蓄積が腸内細菌叢の組成と関連することを示した
バクテロイデス門の細菌が体内の食物を分解すると、短鎖脂肪酸が生産されます。
短鎖脂肪酸が増えると体内の肥満細胞は脂肪の取り込みをやめるため、結果的に体重増加を抑制する働きをします。
また短鎖脂肪酸は間接的に胃腸の動きを緩やかにするため満腹感を得られやすくなり、結果として食事量を減らす効果があります。
つまりバクテロイデス門の細菌は次の作用により人の体重を減らす働きを示します。
- 肥満細胞の脂肪取り込みを抑制
- 満腹感を得られやすくなり食事量が減る
一方でフィルミクテス門の細菌は食事から多くのエネルギーを吸収し脂肪を蓄積しやすい体質になるため、フィルミクテス門が優位の腸内環境は肥満を誘発すると言われています。
腸内細菌叢改善はダイエット効果がある
じゃあフィルミクテス門の細菌を減らしてバクテロイデス門の細菌を増やせばダイエットに効果を示すかと言えばそう簡単な話ではありません。
腸内細菌叢と肥満症の研究によると両者の関係は次のような解釈が正しいとされています。
肥満者に特定の腸内細菌が認められるのではなく、腸内細菌叢の全体の多様性が肥満者では減じていると解釈するのが正しいようである。
ヤクルトとミルミルはダイエットに向いているのか?
腸内細菌叢の改善はダイエットに繋がりそうだということがわかりました。
「腸内細菌叢」という言葉は近年「腸内フローラ」という言葉で広く知れ渡っています。
ヒトの腸管、主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌(腸内細菌叢(そう)や腸内フローラとよばれます)が生息しています。
厚生労働省e-ヘルスネットより引用
ヤクルトとミルミルにそれぞれ含まれる乳酸菌シロタ株とビフィズス菌BY株には腸内フローラを改善する効果のあることがヤクルトの研究により明らかとなっており、つまりヤクルトとミルミルを摂取すれ腸内フローラの改善によりダイエット効果が期待できるのです。
腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて二通りあります。
まず一つめは、健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌である「プロバイオティクス」を直接摂取する方法です。食品ではヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含むものです。厚生労働省e-ヘルスネットより引用
(腸内の善玉菌の割合を増やす2つめの方法は後述します。)
こうした腸内フローラとダイエットなど人間の健康との関りが2015年にNHKスペシャルで放送され大きな反響を呼びました。
その内容が書籍化されたものが出版されています。
腸内フローラはダイエットのみならず我々の健康に大きな影響を与えるという内容です。
あなたがヤクルトやミルミル・ヨーグルトなどをこれから摂取しようと考えているのであれば、読んで得する話ばかりです。
ヤクルトやミルミルでさらに効果的にダイエットをするには?
腸内フローラを改善する2つめの方法は「プレバイオティクス」です。
二つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。食品成分としてはオリゴ糖や食物繊維で、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。消化・吸収されることなく大腸まで達し、腸内にもともと存在する善玉菌に、好きな炭水化物の「エサ」を優先的に与えて、数を増やそうという考えです。
厚生労働省e-ヘルスネットより引用
「オリゴ糖をとる」とありますが、正確には難消化性オリゴ糖です。
つまりヤクルトやミルミルはプロバイオティクス、難消化性オリゴ糖はプレバイオティクスです。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時摂取することをシンバイオティクスと言いその効果は臨床現場でも実証されています。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせて応用する試みは、上記シンバイオティクスの概念が提唱される前から行われており、臨床現場においてはシンバイオティクス療法として病態者や術後における感染防御、炎症抑制などにおいて効果を示しており、健康食品においては両者を組み合わせたヨーグルトなども販売されている。
腸内細菌学会より引用
私がヨーグルトと一緒に摂取しているのはガラクトオリゴ糖で、摂取目安は大人の場合1日4.5gです。
値段は1,600円(2019年12月現在)程度、1日たったの14.4円です。
ミルミルと抗生物質との併用は避けるべき
また薬剤師としてあなたが抗生物質を服用している場合、ヤクルトやミルミルは抗生物質服用から2時間以上あけて摂取してください。
乳酸菌やビフィズス菌は抗生物質によって死滅してしまうからです。
ヤクルトやミルミルでダイエットはできるのか?まとめ
最後にこれまで書いた内容をまとめて記事を〆たいと思います。
- ヤクルトやミルミルには腸内フローラを改善する働きがある
- 腸内フローラの改善は肥満(ダイエット)に影響を与える
- ダイエットに関する研究結果はないが、ヤクルトやミルミルはダイエットに効果があることが推測される
- 難消化性オリゴ糖は肥満(ダイエット)に対し有効的に働く(プレバイオティクス)
- プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせ(シンバイオティクス)はダイエットに対しより効果的に働く
この記事が参考になれば幸いです。
ヤクルトとミルミルそれぞれ単体商品の詳しい効果ついては別途記事を書いていますので参照お願いします。
記事⇒⇒【美肌効果】ミルミルの効果とは?