森永から発売されている機能性食品である「森永トリプルヨーグルト」。
森永によると「トリプルヨーグルト」は血圧・血糖値・中性脂肪という3つの検査値に影響を及ぼすことが謳われています。
果たして「トリプルヨーグルト」には本当に効果があるのか、またスーパーやコンビニなどで購入できるのかを検証し記事にしました。
Contents
トリプルヨーグルトを購入すべき人はこんな人|効果はてきめんだ
まず最初に「トリプルヨーグルト」を購入すると効果が十分に見込める人は次のような方です。
- 血圧が高めの方
- 狭心症・心筋梗塞・糖尿病などのリスクを高めたくない人
なぜ上記の方が対象となるのか、またその効果はどの程度であるのかを検証していきます。
トリプルヨーグルトの価格(値段)やカロリー、糖質を検証
森永乳業が販売するトリプルヨーグルトは2種類のラインナップがあり、それぞれの価格(値段)やカロリー・糖質・栄養成分をまとめました。
トリプルヨーグルトのラインナップと値段・カロリーなど
商品名 | 希望小売価格 (税別) |
カロリー | 糖質 | その他 栄養成分 |
トリプルヨーグルト | 133円 | 49kcal | 6.2g | トリペプチドMKP100μg 難消化性デキストリン5.0g ミルクオリゴ糖 1.0g |
トリプルヨーグルト ドリンクタイプ |
133円 | 48kcal | 6.4g | トリペプチドMKP 100μg 難消化性デキストリン 5.0g ミルクオリゴ糖 1.0g |
各項目を検証しましたが「トリプルヨーグルト」とそのドリンクタイプである「トリプルヨーグルトドリンクタイプ」にほとんど差異は見られませんでした。
トリプルヨーグルトかドリンクタイプを飲むのかはお好みで決めていただいて良いでしょう。
ちなみにコカ・コーラ100mlの糖質やカロリーは次のようになっています。
商品名 |
カロリー |
糖質 |
コカ・コーラ(100ml) | 45kcal | 11.3g |
トリプルヨーグルトのカロリーはコカ・コーラ100mlと同等、糖質は半分くらいですね。
トリプルヨーグルトの主要成分は?
トリプルヨーグルトの効果(機能性)を探るにあたり、重要なのが成分です。
トリプルヨーグルトの主要成分として配合されているのは次の2つです。
- トリペプチドMKP(血圧に関与)
- 難消化デキストリン(血糖値と中性脂肪に関与)
それぞれの成分がどのように機能するかは後述します。
トリプルヨーグルトは機能性表示食品なので特定の効果(機能性)を表示できる
森永乳業の「トリプルヨーグルト」は機能性表示食品です。
機能性表示食品の定義は次の通りです。
事業者の責任において、「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収を抑える」などの科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。販売の60日前までに安全性及び機能性の根拠に関する情報を消費者庁長官へ届け出ることにより表示できる。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない。
機能性表示食品は特定保健用食品(いわゆるトクホ)とは異なり国による個別審査がなく、事業者の責任において食品の機能性を表記しています。
森永乳業が消費者庁に提出した書類を元に「トリプルヨーグルト」にどのような効果があるのかを追っていきます。
トリプルヨーグルトの効果3つを検証
森永乳業が消費者庁に提出しているトリプルヨーグルトの効果(機能性)は次の2つです。
- 高めの血圧(収縮期血圧)をさげる機能
- 食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇をおだやかにする機能
血圧・血糖値・中性脂肪の3つに対して効果があるということですね。
内容を見ていきましょう。
トリプルヨーグルトは血圧をさげる効果がある
ここからはあなたが森永乳業のトリプルヨーグルトを摂取すれば血圧(収縮期血圧)を下げる効果を得られるかもしれない、というお話をします。
トリプルヨーグルトは血圧をどれだけ下げるのか?
皆さんにとって重要なのは「トリプルヨーグルトを摂取すればどの程度血圧が下がるのか」ということですよね?
トリプルヨーグルトは機能性表示食品ですので、森永乳業は消費者庁に根拠のある資料を提出しています。
その資料は消費者庁のHPに掲載されています。
論文を日本語に訳すと「高正常血圧またはグレード1高血圧患者におけるカゼイン由来ペプチドMet-Lys-Proの降圧効果」です。
なんか難しい題名つけられてますが内容は簡単です。
論文中で行われた研究は次のとおりです。
被験者:高値血圧患者(収縮期血圧が130-139、または拡張期血圧が80-89)およびグレード1の高血圧患者(収縮期血圧が140-159または拡張期血圧が80-59)120名
被験者を次の2つのグループに分ける
- トリペプチドMKPを1日100μg摂取するグループ
- トリペプチドMKPの疑似飼料を摂取するグループ
試験開始前の血圧を基準とし、摂取開始4週目・8週目・12週目の血圧を測定する。
要は程度の軽い高血圧患者と高血圧予備軍の方120名に3か月間、トリペプチドMKPを1日100μg(トリプルヨーグルト1本に含まれるのと同量)摂取してもらい血圧の経過を観察したわけです。
摂取を開始して12週間後(3か月後)の結果は次のようになっています。
薬理と治療vlo.46 no.4 2018 529p-537より引用
グラフには試験開始前の血圧と試験開始3か月後の血圧の差が表記されています。
SBPとは収縮期血圧つまり「上の血圧」で、DBPとは拡張期血圧つまり「下の血圧」ですね。
グラフを見ると収縮期血圧は-5程度、拡張期血圧は-1程度下がっているのがわかります。
血圧が高めのあなたがトリペプチドMKPを含有するトリプルヨーグルトを3カ月飲み続ければ、収縮血圧を5程度下げる効果が期待できる、とうことになりますね。
トリプルヨーグルトに含まれるトリペプチドMKPとは何なのか?
「トリペプチドMKP」について解説します。
MKPというのは3つのアミノ酸「メチオニン」「リジン」「プロリン」の略称です。
この3つのアミノ酸が結合したものが「トリペプチドMKP」です。
アミノ酸の結合方法が「ペプチド結合」、「3」をギリシャ語で「トリ」と言うため、「トリペプチドMKP」という名前になっています。
実は血圧降下作用を持ったペプチド(アミノ酸の集合体)は複数存在し、それらを血圧降下ペプチドと呼びます。
ACE阻害薬と呼ばれる降圧剤(カプトリル・レニベースなど)もこの血圧降下ペプチドの構造を元に開発された医薬品で、森永乳業のトリプルヨーグルトに含まれるトリペプチドMKPが血圧を下げる作用機序は、医薬品のACE阻害薬と同じです。
作用機序を簡略化して説明すると次のようになります・・・が少し難しいので飛ばしていただいても良いです。
トリペプチドMKPはアンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡというホルモンに変換する「キニナーゼ」という物質を阻害します。
アンギオテンシンⅡは、血管収縮やナトリウムの腎臓での再吸収などにより血圧を上昇させる効果があるため、アンギオテンシンⅡへの変換を阻害することにより血圧の上昇を抑制します。
トリプルヨーグルトの公式HPに作用機序が簡単に掲載されていましたので、載せておきます。
トリプルヨーグルトの公式HPより引用
この血圧降下ペプチドの効果を利用した商品はエーザイからも発売されており、「ヘルケア」と言います。
「ヘルケア」は特定保健用食品(トクホ)ですので国の承認を得て「血圧が高めの方に」という効果効能を謳い販売されています。
トリプルヨーグルトは血糖値と中性脂肪をさげる効果がある
次に森永乳業トリプルヨーグルトに含有される難消化性デキストリンについて考察します。
森永乳業トリプルヨーグルトは「食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」との効果が表記されています。
果たしてトリプルヨーグルトはどのような作用機序でどの程度血糖値や中性脂肪を下げる効果があるのでしょうか?
検証してみました。
トリプルヨーグルトは食後血糖値をどれだけ下げるのか?
ここからはあなたが森永乳業のトリプルヨーグルトを摂取すれば食後血糖値を下げる効果を得られるかもしれない、というお話をします。
トリプルヨーグルトがどの程度の効果を示すのかについての論文がありますので、それを元に検証していきます。
研究の内容は次のとおりです。
被験者:健常男性23名
被験者を次のグループに分ける
- 難消化性デキストリン4.8gを含む飲料を摂取するグループ
- 難消化性デキストリン4.8gを含まない疑似飲料を摂取するグループ
午前9時に米飯300gと対照飲料を摂取させ、摂取終了15分,30分,60分,120分後に採血を行う。
要は23名の被験者をグループ分けし、トリプルヨーグルトを摂取した場合とそうでない場合で、食後の血糖値がどのように変化したかを観測したわけですね。
結果は次のようになっています。
健康・栄養食品研究 Vol.5 No.2 2002
「難消化性デキストリン配合緑茶飲料の食後血糖値およびインスリン値に及ぼす影響」34Pより引用
画像を見ていただくと、食後30分後に血糖値のピークを迎え徐々に食事前の血糖値へ戻っていく様子が観察できます。
白丸(◯)は食事と共にトリプルヨーグルトを摂取したグループの血糖値、黒丸(●)は食事と疑似飲料を摂取したグループの血糖値です。
3つのグラフのうち真ん中のグラフは食後の血糖値が上がりやすい被験者を対象としたものです。
トリプルヨーグルトに含有される難消化性デキストリンは、特に血糖値が上がりやすい被験者に対して食後血糖値を下げる効果が見られます。
また被験者全体のグラフ(左端)を見ても、疑似飲料を摂取したグループに比較して有意に食後血糖値が低いです。
つまりあなたがトリプルヨーグルトを摂取すれば食後血糖値を下げる効果がある、特に血糖値が上がりやすい体質であればさらに効果的であることが推測できます。
またこの研究ではトリプルヨーグルトを毎食後摂取させる試験を12週にわたり被験者9名に行っておりますが、採血結果による健康被害はみられていません。
長期服用による安全性も問題ないと言えるでしょう。
トリプルヨーグルトは中性脂肪をどれだけ下げるのか?
次にお話するのはあなたがくトリプルヨーグルトを摂取すると食後中性脂肪の上昇を抑えられる可能性がある、とういお話です。
トリプルヨーグルトは食後中性脂肪の上昇をどの程度抑制するのでしょうか?
研究内容は次のとおりです。
被験者12名を次のグループにわける
- 難消化性デキストリンを5g含む炭酸飲料を摂取するグループ
- 難消化性デキストリンを含まない炭酸飲料を摂取するグループ
午前10時に試験を開始。
高脂質食と対照の炭酸飲料を摂取させ、試験前、0.5、1、2、3、4、5、6時間後の採決を行う。
要はトリプルヨーグルトを摂取した場合とそうでない場合で、高脂質食を食べた後の中性脂肪がどの程度変化したかを調査したわけです。
結果は次のようになっています。
Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol.37 no.3 2009 281P「難消化性デキストリンの食後血糖、インスリン、中性脂肪の上昇に及ぼす影響」より引用
白丸(◯)は高脂質食と共にトリプルヨーグルトを摂取した場合の血糖値、黒丸(●)は高脂質食と疑似飲料を摂取したグループです。
グラフを見ていただければわかるとおり、ファイバー飲料(難消化性デキストリンを含む炭酸飲料)を一緒に摂取したグループでは食後の中性脂肪値が有意に低いことがわかります。
つまりトリプルヨーグルトを摂取すれば食後の中性脂肪値が最大で20mg/dl程度減らすことができると推測できます。
トリプルヨーグルトに含有される難消化デキストリンとは何なのか?
「難消化性デキストリン」をご存じの方は多いかもしれません。
難消化性デキストリンはアマゾンや楽天などでも販売されていて、購入者レビューが非常高い商品です。
知る人ぞ知る健康食品ですね。
難消化性デキストリンは小腸で糖・脂肪の吸収を抑制することにより、食後の血糖値・中性脂肪の上昇を抑制します。
食後の血糖値や中性脂肪を制御する意義
そもそも食後の血糖値や中性脂肪値は重要なのかと考える人もいらっしゃるかと思います。
食後の過血糖や中性脂肪の上昇を抑制すべきなのは次のような理由があるからです。
食後の血糖値が健康を害する理由
食後の血糖値を抑制したほうが良い理由がオムロンのHPに掲載されていましたので引用します。
食後の血糖値が高いと、糖尿病の発症リスクが高くなるといわれています。また、食後高血糖によって活性酸素が産生され、血管が酸化ストレスにさらされてしまうため、動脈硬化のリスクも高くなるとされています。動脈硬化は、空腹時の血糖値より食後の血糖値が高いことのほうが大きな影響を及ぼすともいわれています。動脈硬化は高血圧を引き起こすケースが多く、将来的には心筋梗塞や脳卒中という恐ろしい病気を引き起こしかねませんので注意が必要です。
食後血糖値の上昇は糖尿病リスクや動脈硬化による高血圧、さらには心筋梗塞などの疾病リスクを高めます。
食後の中性脂肪値が健康を害する理由
同じく食後の高中性脂肪を抑制したほうが良い理由は次のとおりです。
食後高脂血症では、この中性脂肪の分解がスムーズに進まず、レムナントという分解途中の中性脂肪のかたまりが血液中に長くとどまることになります。これが食後高脂血症の正体です。なおレムナントにはコレステロールも含まれています。
レムナントが血液中に長くとどまると血管壁に入り込みやすく、その結果コレステロールがたまって動脈硬化を引き起こします。また、食後の中性脂肪値が高いほど、狭心症や心筋梗塞を引き起こす危険性が高まることもわかっています。
食後高脂血症は動脈硬化や狭心症・心筋梗塞のリスクを高めるわけですね。
森永乳業トリプルヨーグルトはどこで売っているの?
ではトリプルヨーグルトはどこで販売しているのかを確認します。
森永乳業のトリプルヨーグルトはスーパーやコンビニで販売しています。ですのでコンビニやスーパーの乳酸飲料コーナーを覗いてみてください。
個人的な意見ですが、コンビニにトリプルヨーグルトはあまり売っているのを見かけたことがありません。どちらかと言えばスーパーの乳製品コーナーで見つけられる可能性がとても高いと思います。
もしスーパーで見つけられなければ、そのスーパーでは取り扱いがない可能性がありますので一度店員さんにご確認お願いします。
もちろんアマゾンや楽天などネットショッピングでも販売していますので利用しても良いでしょう。
トリプルヨーグルトはいつ飲むの?飲むタイミングは?
最後に森永乳業のトリプルヨーグルトはいつ飲めば良いのでしょう?
公式HPの「よくある質問」によれば次のような回答が示されています。
お好みに応じてお召し上がりください。ただし、難消化性デキストリンによる血糖値と中性脂肪への効果は食事と一緒に召し上がっていただく場合に発揮されることが報告されていますので、食事と一緒に召し上がっていただくことをお奨めします。
トリプルヨーグルトに含有される難消化性デキストリンには食後の中性脂肪と血糖値を下げる効果があります。
難消化性デキストリンに関する研究では全て食事と一緒に難消化性デキストリンの摂取が行われていたことからも、トリプルヨーグルトは必ず食事と一緒に摂取したほうが良いでしょう。
空腹時にトリプルヨーグルトを摂取しても「食後の中性脂肪と血糖値を下げる」という効果が失われる可能性があります。
トリプルヨーグルトよりもお得に「食後の中性脂肪と血糖値を下げる」には
記事をまとめるとトリプルヨーグルトには次のような効果があります。
- 高めの血圧(収縮期血圧)をさげる機能
- 食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇をおだやかにする機能
しかしもしあなたが血圧に何の問題もなく、食後血糖値や中性脂肪だけが気になる方であればトリプルヨーグルトよりもお得な方法があります。
記事の途中で紹介しましたが、市販の難消化性デキストリンは400gで約900円です。
論文の中では1日5gの摂取が行われていましたので、80日間継続摂取できることとなり、トリプルヨーグルトを毎日飲むよりも圧倒的にコスパが良い商品です。
商品名 | 1日あたり費用 |
難消化性デキストリン | 11.25円 |
トリプルヨーグルト | 133円 |
値段は10倍以上違います。
トリプルヨーグルトよりお得に効果を得たいのであれば難消化性デキストリンの方が良いでしょう。
また血圧を下げる効果がある乳酸菌製品は他にヤクルトプレティオがあります。
記事を書いていますので参照いただければ幸いです。