国債。
言葉は知っている方は多いと思いますが、恐らくほとんどの人は購入したことがない金融商品ではないでしょうか?
この記事ではその国債について、金利(利息)・メリット・デメリット・購入方法やリスクについて解説をしています。
国債とは何なのか?その安全性は?
結論ありきで話をすると、国債の金利は2019年9月現在で0.05%と、投資としては不適格であると考えています。
その理由をお話ししていくのですが、まずは国債とは何なのかを説明していきます。
国債とは?
国債とは国が発行している債権。
と、一言済んでします話なのですがこれではあまりにも悲しい話なのでもう少し分かりやすくお話します。
毎年「国の借金が1100兆円を超えた」などのニュースが話題になるのを聞いたことがあるかと思います。
その是非はさておき、この国の借金の大部分を占めるのが公債、つまり国債です。
国債を個人間の取引に例えると
個人レベルで話を考えてみましょう。
あなたが起業をするために、5年後に返却する約束で友人から100万円を借りたとします。
お礼もなしに100万円を借りるのは悪いと思ったあなたは、毎年お礼に5,000円を渡すことを約束します。
5年後、あなたはその100万円を元手に事業が成功、今や毎月利益が50万円出る事業に成長し、無事友人に100万円を返却。
友人は毎年5,000円を5年間貰えて大満足、交友関係も深まり、両者Win-Win。借金して起業した甲斐がありました。
そして、こうしたやりとりを国レベルで行っているのが国債です。
国債とは国がお金を借り入れること
国債とは国が個人や金融機関などに借金をし、社会保障拡充や経済活動の促進のための資金にすることで、日本の国力を上昇させているわけです。
ここで国債を借り手側である個人から考えるとどうなるのでしょう?
先ほどの起業の場合、事業の主体は個人でした。
個人が起業した場合10年後の生存率は3割を切るといわれていますので、実は友人は非常に危ない投資をしていたのかもしれません。
一方国債は借り入れの主体となるのは国です。日本は世界第三位の経済大国であり、国が破綻する可能性はほぼゼロです。
ですので個人として国債へ投資を行うということは、極めて安全な投資ということになるのです。
国債の種類と国債の特徴
一言で国債と言っても種類がいくつかあるので紹介しておきたいと思います。
利払い方式による分類:利付国債と割引国債
まずは(あまり重要ではないですが)利払い、つまりは利息をどのように受け取るかによって国債は2種類に分類されます。
利付国債
利付国債とは、投資した金額と金利に応じて年2回の利子が支払われる国債です。
割引国債
割引国債は利子の支払いがなく、償還期限(投資期間が満了した)までの利子分をあらかじめ安く購入できる国債です。
利付国債と割引国債の違い
結果的に利回りは利付国債でも割引国債でも同じになるのですが、個人が購入できるのは利付国債になります。
個人が購入できる国債2種類:個人向け国債と新窓販国債
個人が購入できる国債には、個人向け国債と新窓販国債の2種類があります。
それぞれ特徴を表にしました。
個人向け国債
個人向け国債はその名のとおり、個人が購入できる国債です。
商品名 | 変動10 | 固定5 | 固定3 |
特徴 | 実勢金利に応じて半年ごとに適用金利が変動 | 満期まで利率変動なし | 満期まで利率変動なし |
満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
金利 | 変動 | 固定 | 固定 |
金利設定 | 基準金利×0.066 | 基準金利-0.05% | 基準金利-0.03% |
最低金利 | 0.05% | 0.05% | 0.05% |
利子の受け取り | 半年ごとに年2回 | ||
購入単位 | 最低1万円から1万円単位 | ||
中途換金(解約) | 発行後1年経過すればいつでも中途換金可能。直前2回分の利子を差し引いた額が戻る(元本割れなし) | ||
発行月 | 毎月 |
個人向け国債の場合、満期までの期間が10年、5年、3年の3種類のものがあり、5年と3年は金利が固定、つまり償還(満期が完了するまで)まで得られる利子が購入した段階で決定します。
一方10年のものはインフレやデフレにより金利が上下するため、購入後の経済状況により得られる利子は変動します。
ただいずれの国債も最低金利0.05%が設けられているので元本割れする心配はありません。
また重要なのは中途解約時です。
発行後1年を経過した国債はいつでも中途解約が可能ですが、解約した場合は受け取る金額から直近2回分の利子が差し引かれます。
しかしその場合も直近2回分の利子が差し引かれるだけなので元本割れする心配はありません。
新窓販国債
新窓販国債は、個人と法人が購入できる国債です。。
商品名 | 国債10 | 国債5 | 国債2 |
特徴 | 満期まで利率変動はないが価格変動あり | ||
満期 | 10年 | 5年 | 2年 |
金利 | 固定 | ||
金利設定 | 発効毎に市場実勢に基づき財務省が決定 | ||
最低金利 | なし | ||
利子の受け取り | 半年ごとに年2回 | ||
購入単位 | 最低5万円から5万円単位 | ||
中途換金(解約) | 市場で売却するため、金利の上下に伴い売却益/損あり(元本割れリスクあり) | ||
発行月 | 毎月(マイナス金利の導入により2016年2月以来発売されていない) |
新窓販国債は元々郵便窓口でしか販売できなかったものを、民間金融機関に拡大したものです。
満期までの期間が10年、5年、2年の3種類あり、それぞれ金利は固定されているため購入時点で受け取る利息は確定します。
金利の設定は財務省が市場実勢に基づき決定しますが、金利に最低金利は設けられておりません。
そのため、近年のマイナス金利政策のせいで金利が設定できず(マイナス金利で国債を販売すると購入者が損をしてしまうという馬鹿な結果になるので)、2016年2月以降は販売されていません。
また、中途解約の場合は市場で売却するため価格が変動し元本割れを起こす可能性がありますが、逆に売却益を手にすることもあり得ます。
価格変動の要因は金利です。
金利が上昇すれば発行済の国債価格は下落し、金利が下落すれば価格は上昇しますので、新窓販国債を購入後に景気が落ち込み金利が下落すれば理論上、新窓販国債は売却利益を得ることができるはずです。
国債の現在の金利|実際にいくら儲かるのかを考察
国債の解説は以上になりますが、最も重要なのは国債でいくら儲かるかということですよね?
現在の国債金利と決定要因
国債の金利(利子)は、日本の政策金利に応じて決定されます。政策金利が高ければ利子も多く貰えます。
つまり2019年現在の日本のマイナス金利下では国債の利回りは非常に低いのです。
日本の国債を購入してもらえる金利は2019年9月現在で最低金利の0.05%しかありません。
国債購入後をシミュレーション
財務省のHPでは国債を購入した場合のシミュレーションを行うことができますので、実際にやってみました。
個人向け国債・固定金利5年の商品へ100万円を投資し、5年経過後のシミュレーション結果は次の通りです。
100万円を投資すれば、半年ごとに利子を受け取ることが出来、5年後には総額2,497円を儲けていることになります。
国債はどこで買えるのか
では国債はどこで購入することができるのでしょう?
個人向け国債は全国各地の金融機関で購入できます。
詳細は財務省の取り扱い金融機関一覧に掲載されていますが、ネット証券の場合は楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで購入することが可能です。
国債は投資対象になるのか
最後に国債は投資対象になるのか否か、私の考えをお伝えしておきます。
現在のマイナス金利のような金利の低い状態では個人向けの国債は投資対象にはなりません。
確かに普通預金口座への預金したところで、金利は2019年現在0.001%程度とほぼ0に近いような数字です。
普通預金と比較すれば0.05%とうい数字は魅力的かもしれません。
しかし100万円投資しても年500円、1億円投下しても5万円しか利益がありません。
ただ唯一、国債を投資対象に考えても良いと思われるのは準富裕層(金融資産5000万円以上)~富裕層(金融資産1億円以上)の方です。
銀行が破綻した場合、国が保護してくれる上限額は1000万円までです。
1,000万円以上の資産を銀行よりも安全に、元本割れなしで運用できる国債は富裕層にとっては投資先の1つとして考慮に値する商品だと言えます。
1,000万円未満を元本保証で国債より高い利回りで運用する
しかし富裕層でない投資家がこのような低金利の国債へ1000万円未満の金額を投資するのであれば、ネット銀行の定期預金へ預ければ0.2%程度は確保できますし、キャンペーンに乗ればさらに上乗せ金利も期待できます。
定期預金で資金をロックされるのが嫌な場合は、あおぞら銀行の証券コネクト口座を利用すれば、普通預金であっても国債の2.2倍の0.11%の利回りを確保できます。
GMOクリック証券とあおぞら銀行の口座を開設、両者の口座を結合(コネクト)するようネットで依頼すればあおぞら銀行に預けている預金の金利が0.11%になります。
普通預金ではあおぞら銀行の証券コネクト口座が最強でしょう。
いずれにせよ、マイナス金利政策を日本がとっている限りにおいては富裕層以外の個人が国債へ投資することは避けたほうが無難と言えます。