会社員にせよフリーランスにせよ、節税(主に住民税)・節約を考えた時にまず第一候補となるのがこのふるさと納税です。
ふるさと納税がなぜこれだけ持て囃されるのか、それはふるさと納税がリスクを伴わないからです。
通常、お金を増やそうとした時は元本割れのリスクを背負い、その見返りとして利回りを得るものですが、このふるさと納税制度は単に納税先が変わるだけなのに、返礼品だけが貰えるという得しかしない制度になっています。
今回はこの制度の仕組みを1から分かりやすく説明していきたいと思います。
Contents
ふるさと納税の仕組み
通常、住民税は前年1年分の所得(給料)に応じた額を、その年の1月1日に住民票届のある市町村へ支払うことになっています。
しかし、住民票のある市町村以外の地域へ寄付をすることによって、その寄付した分(から2000円を引いた額)だけ住民税(一部所得税)を減らすことができるのです。
そして、寄付を受けた市町村から感謝のしるしとして贈答品が送られる(自治体が多い)のです。
つまりは、納める住民税額は変わらないのに(自己負担額2,000円が別途必要とりますが)市町村から頂ける贈答品の分だけ得をする、という仕組みなのです。
建前としては、居住地以外の市町村へ寄付をすることにより住民税(と一部所得税)が同じ額だけ免除されますよ、ということです。
やってみるとわかりますが、「2,000円を支払ってカタログギフトを沢山選べる」感覚になります。
また「ふるさと」という言葉がついていますが、自分の生まれ故郷以外の市町村へも自由に寄付をすることができる仕組みになっています。
ふるさと納税の節税効果
ここで気になるのは一体いくらほどの返礼品がもらえるのか、つまりは節税効果がどのくらいあるのかということでしょう。
ふるさと納税を行う人の年収や、家族形態によっても異なりますが1つのモデルを上げておきます。
独身で年収が500万円の会社員で通常20,000円~25,000円くらいの節税効果がありますが、返礼品を厳選すれば4万円程度の節税効果が見込めます。
(2019年には、返礼品率が高すぎる市町村へ寄付を行っても控除の対象にならない措置が取られる予定になりました。返礼品率は全ての市町村で寄付金の3割程度になる見込みです)
ふるさと納税は節税対策としては最もと言って良いほど優秀な手法です。
しかしながら、支払った納税額全てが還付されるわけではなく、所得に応じて上限が設けられています。
そこで、次に年収・世帯ごとにふるさと納税上限額の早見表を作成しています(基本的に扶養家族が少ないほど、給料は多いほどふるさと納税の上限は高くなります)。
ふるさと納税の節税効果は、この納税上限額の3割程度(の商品を貰える)と考えて良いでしょう。
年収・世帯別ふるさと納税の上限と目安
早速ですが、サラリーマン・会社員のふるさと納税上限目安と、個人事業主・フリーランスのふるさと納税上限をそれぞれ書いていきます。
サラリーマン・会社員のふるさと納税上限目安
サラリーマンのふるさと納税の上限は、納税者本人の給与とその家族構成によって決まります。
「家族構成」と言うのは少し語弊があり、正確には扶養している家族が何人いるかによって決まります。扶養する人数が多ければ、ふるさと納税の上限額は小さくなります。
これは扶養する人数が増えるに従い、所得から控除される額も増え、結果的に納めている税金(住民税)が減るからですね。
基本的にふるさと納税の上限は、納めている税金の額に依存します。
次の表はサラリーマンの給与収入と家族構成によって、ふるさと納税上限がいくらかを示した表になります。
給与収入が25万円刻みになっているので、左列から該当する給与収入を選び、上2行目から家族構成を選択してみましょう。あなたが納めても良いふるさと納税の目安がわかるようになっています。
例えば、あなたが会社から年間給料500万円を貰っており、家族構成は専業主婦(主夫)の妻(夫)1人だったとしましょう。
その場合は左列から500万円を、上の行から夫婦を選択しましょう。すると、49,000という数字が該当しますね。
これにより、あなたのふるさと納税上限額目安は49,000円であり、この額まで寄付をしても来年の税金がその分(49,000円-自己負担2,000円=47,000円)安くなりますよ、ということがわかります。
上限目安を超えて寄付をすることもできますが、超えてしまった分は翌年戻ってこない(正確にはほんの一部戻ってくる)ので寄付の額には十分注意が必要です。
基本的には高収入であるほど税金を多く払っているため、年間上限目安が高くなる、つまりよりたくさんの返礼品を貰うことができるようになっています。
個人事業主・フリーランスのふるさと納税上限目安
個人事業主・フリーランスの方のふるさと納税上限目安に関しては、簡易表を作るのは難しいです。
売上と経費に関しては個人によって大きく異なるので、何をベースにして表を作れば良いのかがわからないからですね。
しかし、課税所得(確定申告書Bの26)が分かってさえしまえば、正確な値は直ぐに出ます。
当然、確定申告はされていると思いますので(確定申告しないとふるさと納税はできません)下の式から課税所得を算出していただきたいです。
(売上)-(経費)-(各種控除)=課税所得
または確定申告書Bを基準にすると、次の式から課税所得を算出できます。
(所得金額)-(所得から差し引かれる金額)=課税所得
そして、課税所得から住民税所得割額、所得税率が分かりますので、下の式に当てはめれば上限額がわかるようになります。
住民税所得割額は、課税所得×0.1です。
また、所得税率は下の表から割り出すことができます。
課税所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
ふるさと納税上限の正確な計算方法を知りたい方
住民税額所得割額・所得税率の確認方法は、ふるさと納税の詳細な計算方法として記事に書かせていただきましたので、ご参照いただけると幸いです。
ふるさと納税で節税したお金はいつ戻ってくるのか?
節税したお金は、寄付金の申請方法によって異なります。
寄付金の申請方法には2種類あり、1つはワンストップ特例制度、もうひとつは確定申告を行う方法です。
ワンストップ特例制度を利用する場合
全て住民税で還付されますので、寄付をした翌年の6月より給与から天引きされる住民税が安くなります。
確定申告する場合
会社員であれば翌年6月から引き落としされる住民税が安くなり、所得税の減税分は、確定申告した1~1.5カ月後くらいに指定の口座へ振り込まれます。
個人事業主であれば翌年の6月に送付される住民税の通知書で安くなっていることが確認できますし、所得税分はサラリーマンと同様、確定申告した1~1.5カ月後くらいに指定の口座へ振り込まれます。
ワンストップ特例制度と確定申告の違い
自営業の方であれば、申告方法は確定申告のみになります。
しかし、サラリーマンであれば申告方法はワンストップ特例制度と確定申告、2種類から選ぶことになります。
私はサラリーマンをやっていますが、確定申告でふるさと納税を行っています。
どちらの申告方法も一長一短あるのですが、個人的には確定申告をオススメしたいです。
その理由については、次の記事で詳しく解説しています。
ふるさと納税の仕組みはなぜこんなお得なのか?
本来この制度が設立された目的としては、自分が生まれ育った市町村を出て東京等の都会へ出て行った納税者が、自分を育ててくれた市町村に対して寄付をすることによって恩返しができる仕組みにしよう、ということでありました。
また、自分が生まれ育った土地でなくても活性化させたい地域に対して応援の意味で寄付ができるよ、といった意味合いもありました。
しかしながら、市町村としては寄付を頂いた方にお礼品を贈呈してでも寄付を募り地域を活性化させたい(税収を増やしたい)!と思っているわけで、贈答品を餌に住民税を奪い合うという、大バーゲンセールが全国各地で行われている状況です。
結果、納税者は本来の目的のためでなく、少しでも欲しいもの、返礼率の高い商品を贈答してくれる市町村に寄付を行うという仕組みになっています。
一部行きすぎた贈答品もあり、国がそれに対して苦言を呈し、2017年4月1日には返礼割合の上限を3割に抑制するように通知を出しました(例えば1万円の寄付に対しては3000円の商品を返礼品の上限としなさいよ、という意味)。
が、今なお返礼率5割を超える商品が受け取れる仕組みになっているのが現状です。(2019年に是正される見込みです)
この仕組みを納税者としては節税の手段として利用しない手はないのです。
ふるさと納税を行った市町村からお礼の商品として、米・肉・海産物・商品券等さまざまなものが貰えますが、金額に換算すると寄付金の3割程度に落ち着くはずです。
これを少ないと思うか多いと思うか人によるかと思いますが、この制度を利用しない手はありません。
肉が好きな人は、普段スーパーでは買わないであろう少し上質な肉を頂いても良いでしょうし、生活費を削減したいと言う人は米を選んで貰い続ければ、年間を通して1度も米を買わずに済ますことも十分できるであろう量が貰えるのです。
加えて、様々な商品の中から品物を選べるという楽しさも付随します。
結婚式に出席したことのある人なら、引き出物としてカタログギフトを貰ったことがあるでしょう。
引き出物のカタログギフトなら、相場的に3,000円~5,000円くらいのものが貰えるのではないかと思われますが、先ほど述べた年収500万円くらいの方ならば、そのカタログギフトのチョイスが、年6~7回行えるのです。
とてもお得だと思いませんか?
ふるさと納税をされたことのない方は、これを機にぜひとも始めていただきたいと願います。
ふるさと納税の始め方とその手続き
実際にふるさと納税をするにはどうすればよいのか?ちょっとハードルが高いんじゃないの?と思われる方もいるかも知れません。
しかし便利さが追求されるこの時代、そんな心配は無用なのです。アマゾン等のネットショッピングをしたことがあるのなら、いとも簡単に出来てしまいます。
ふるさと納税のポータルサイトへ飛んで、必要事項(住所・名前等)を登録、各々好きな返礼品を選ぶだけです。
私が使用しているサイトは次の3つです。
さとふるでふるさと納税
私が食料品を購入する時に多く利用しているのは「さとふる」です。これはサイトが使いやすいからというわけではなく、個人的に貰いたい返礼品が多く登録されているからですね。
楽天でふるさと納税
楽天のクレジットカードをお持ちの方は楽天でふるさと納税を利用すれば、ポイントが貯まりさらにお得になるので楽天をオススメしたいです。
通常の贈答品を貰えるのみならず、楽天ポイントカードが貯まるのが最大のメリットです。
ふるなびでふるさと納税
最も返礼率が高いであろう、旅行券を扱っているのがふるなびです。(2019年で高還元率の旅行券は取り扱いが無くなりました)
私の場合納税額で言えば、この「ふるなび」を通じて行ったものが最も多くなっています。
そして、なんとクレジットカード決済を使うと寄付金額1%分のアマゾンギフトカードが貰えるのです!これはお得。
複数のサイトへ登録するメリット
ふるさと納税は、直接地方自治体とやりとりをする方法もあります。
しかしながらその利便性から、ほとんどの人は上記のポータルサイトを利用してふるさと納税を行っています。
ですので、ふるさと納税の始め方としては「上記ポータルサイトに登録する手続きを行い、そこから納税を行う」ことが第一歩となります。
「何故1つに絞らず、複数のサイトに登録しているか?」と言うと、サイトによって扱える市町村の種類が違うからです。
例えば、私が好きな 佐賀県嬉野市の佐賀牛切り落としは、「さとふる」にしか登録されていないため、必然的に「さとふる」に登録する必要があります。
最初から全てのサイトに登録をしていたわけではなく、欲しい返礼品を探していくうちに登録サイトが増えたのです。
恐らく、皆さまも自分の好みの贈答品を探しているうちに、登録するポータルサイトは増えていくと思います。人間の欲は深いのです。
これは言いかえれば、複数のサイトに登録することによって、選択できる贈答品が増えて行くということになります。
ふるさと納税の仕組みまとめ
簡単ですが、ふるさと納税の仕組みをまとめてみました。
- ふるさと納税額ー2000円分、住民税と所得税が安くなる
- 年収や家族構成に応じて、住民税と所得税が安くなる寄付金額の上限がある
- ふるさと納税を開始するには、ポータルサイトの登録から