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固定資産税と都市計画税はいつから安くなるのか

投稿日:2018年12月30日 更新日:

家と通帳

固定資産税と都市計画税は基本的に建物が劣化していくので、年数を経れば安くなっていきます。

しかしながら、新築住宅の減額措置が切れる年を境に、新築でマンション・戸建てを購入された方の場合は固定資産税が高くなってしまいます。

この記事では、2年目以降固定資産税と都市計画税がどのように推移するのかを解説します。

固定資産税と都市計画税が変動する要因

新築の固定資産税・都市計画税の計算方法については次の記事で解説をしましたので参照をお願いします。

実際に新築で家を建て、家屋調査が入るまでを記事にしています。

新築の固定資産税・都市計画税はいくらになるのかを計算。家屋調査の実態とは?

今回は新築で購入した固定資産税・都市計画税が経年とともに(2年目以降に)いくらになっていくのかを解説していきたいと思います。

固定資産税金・都市計画税に変更があるのは基本的に次の2つの要因からなります。

  • 3年に1回の固定資産(土地・家屋)の評価替えの基準年度
  • 新築住宅の減額措置が切れた時

順に説明していきたいと思います

3年に1回の固定資産(土地・家屋)の評価替え

土地や家屋(建物)の価格は年々変化していくのはおわかりいただけるかと思います。

土地に関しては1年に1回、1月に地価公示価というものが公表されます。

国が特定の土地に対しての正常価格を明示するわけですね(実際の取引価格とは大きく乖離する場合がありますが)。

また、家屋は新築時の価値が最も高く、毎年、もっと厳密にいえば時間が経っているまさにこの瞬間にも家屋は劣化しているわけで、価値(価格)は下がり続けています。

一方で、円安や経済的事情、インフレーションにより建築資材や建築に係る人件費が高騰し、新築建物の価格が急上昇したとしたらどうでしょうか?

すでに建てている中古戸建てやマンションの価格も上昇してしまう、つまり価値があがってしまうこともあり得ます。

事実、2009年のリーマンショック時に購入した中古マンションは10年経った現在の方が価格は上がっています(もちろん土地の価格が上がっているのも原因ですが)。

このように変化し続ける土地と家屋の再評価を行うのが、3年に1回の固定資産(土地・家屋)の評価替えです。

最新の土地と家屋の評価替えは平成30年に行われました。ので、次回は平成33年ということになります。

新築住宅の減額措置が切れた時

マンションにせよ戸建てにせよ、新築住宅の家屋には数年間固定資産税が半額になる措置があります(あくまで家屋の固定資産税だけで、土地や都市計画税は関係ありません)

その減額措置を満了した戸建てやマンションは、家屋の固定資産税が一気に上がることとになります。

新築2年目以降の固定資産税と都市計画税の計算方法

新築2年目以降の固定資産税は、上記のように評価替えの年度と減額措置の兼ね合いにより上下することとなります。

まずは3年に1回の評価替えの計算から見て行きましょう。

土地の評価替え

土地の計算方法は家屋のそれと比較すると、まだ簡単です。

毎年1月になると国が地価公示価を公表します。

市町村がこの地価公示価を基として、そのおよそ7割となるように課税標準額を決定します(その価格は固定資産路線価として公表されます)。

ですので、地価公示価があがればそれにあわせて土地の課税標準額も上がりますし、地価公示価がさがればその逆になります。

地価公示価はバブル崩壊後下落をたどっていましたが、アベノミクスによる景気向上により近年は価格が上昇傾向にあります。

平成33年に経済状況がどのようになっているかはわかりませんが、課税標準額は平成30年と比較し上と下、両方に行く可能性があるのです。

家屋の評価替え

一方家屋に関しては計算方法が少し難しいです。

家屋の評価額の算式を示すと次のようになります。

家屋の評価額(価格)= 単位当たり再建築費評点数×経年(損耗)状況による減点補正率×床面積×評点一点当たりの価額

2年目以降の評価額は、その建物を2年目以降の評価替えの年に建て替えた場合の評価額に、経年による減点補正率を掛け、評点1点あたりの価額をかけたものになります。

単純に1年目の評価額に経年による減点補正率を掛けるのではなく、先に述べたような建築資材や人件費の上昇または減少分を含めるために、家屋を再建築した場合の費用を基準として減点補正率を掛けることになります。

評点1点あたりの価額については、新築戸建て固定資産税・都市計画税のための家屋調査がやってきたのページで解説していますので詳細は省きますが、地域による補正率だと考えていただければ良いでしょう。

家屋の経年減点補正率

基本的に家屋は経年により価値が下がりますので、建物の価格に経年減点補正率をかけます。

経年減点補正率は経年減点補正率標準表という総務省が公表している表に従います。

経年減点補正率表は建物の種類によって異なり、戸建て・旅館・ホテル・マンションなど用途によって表が異なり非常に細かいです。

ここでは居住用の戸建てとマンションの経年減点補正率基準表を解説していきたいと思います。

まずは戸建ての経年減点補正率基準表です

木造家屋経年減点補正率基準表

戸建ての経年減点補正率表は、1平米あたりの評価額によってさらに使用する率が異なります。

一般的な戸建ての場合、左から3列目の83,000点以上~128,000点未満に収まるのではないかと思われます。

100平米で2000万円の新築戸建てだと、評価額が1000~1200万円程度になることが多く、平米単価だと100,000点~120,000点に収束します。

また、マンションの経年減点補正率表は次のとおりです。

マンション経年減点補正率基準表

近年のマンションは鉄骨鉄筋コンクリート造であることがほとんどですので、表の一番左列を使用します。

戸建てと比較して耐用年数が長く、劣化が緩やかであるとみなされて、最低額に落ち着くのに60年もかかります。

新築住宅に係る減額措置

新築住宅は戸建にせよマンションにせよ、その家屋(土地は関係ないです)の固定資産税が安くなる(半額になる)措置が取られています。

逆に言えば新築住宅の減額措置が切れると、家屋に係る固定資産税が一気に倍になります。

新築住宅の減額措置の期間は以下の通りです。

1 2~4以外の住宅 新築後3年度分
2 3階建て以上の中高層耐火住宅(マンションなど)で、4以外の住宅 新築後5年度分
3 認定長期優良住宅で、4以外の住宅 新築後5年度分
4 認定長期優良住宅で、3階建て以上の中高層耐火住宅(マンションなど) 新築後7年度分

よくある建売の戸建てだと、減額措置は3年間、近年のマンションだと認定長期優良住宅であることが多いと思いますので7年間は減額措置があります。

固定資産税と都市計画税はいつから安くなるのか

以上のような状況を踏まえて、戸建てとマンションでどのように固定資産税と都市計画税が推移していくのかを見て行きましょう。

土地価格の変動は読めませんので新築購入後変わらないものとして計算していきます。

戸建て(土地2000万円・家屋2000万円)を購入した場合の2年目以降の固定資産税・都市計画税

これは私の家の話ですね笑

土地に関しては実売買価格と課税標準額が大きく乖離してしまうことはよくありますが、実際に計算すると、新築時の課税標準額は次のようになります。

土地の課税標準額:876万円

家屋の課税標準額:1170万円

平30年(1年目)に家を購入、平成33年(4年目)に評価替えを迎えます。

詳細な計算は省きますが、3年ごとの固定資産税+都市計画税は次のようになります

年数 家屋の固定資産税+都市計画税(万円) 土地の固定資産税+都市計画税(万円) 固定資産税+都市計画税(万円) 経年減点補正率
1 9.3 2.8 12.1 0.8
4 13.4 2.8 16.2 0.68
7 12 2.8 14.8 0.61
10 10.6 2.8 13.4 0.54
13 8.8 2.8 11.6 0.45
16 6.5 2.8 9.3 0.38
19 5.3 2.8 8.1 0.31
22 4.2 2.8 7 0.25
25 3.4 2.8 6.2 0.2

土地の価値は変動しないものとして計算しているので、土地に関しては固定資産税+都市計画税の変動はありません。

また土地の上に住宅が建っていればその土地の固定資産税は1/6、都市計画税は1/3になるため、建物に比べれば税金は非常に安くなります。

しかし、4年目に税金が大幅に上がっているのがおわかりでしょうか?

これは新築住宅の減額措置が切れてしまうからですね。経年減点補正率が0.8→0.68へとなっており、家屋の評価額は下がりますが、減額措置が切れてしまうためこのようなことになってしまいます。

初年度の固定資産税を下回るのはなんと家を購入して13年目から。

恐怖でしかありません。4年目から12年目は耐え忍んで固定資産税を支払うしかないのです。

なお、今回たまたま減額措置が切れる年と評価替えの年が被ってしまいましたが、例えば2年目に評価替えの年があると(大きな建築資材等の高騰がなければ)1年目より2年目の固定資産税・都市計画税の方が安くなります。

が、結局は新築住宅の減額措置が切れてしまうと初年度より固定資産税+都市計画税は高くなってしまうのですが。

25年目に建物の価値は最低となり、その後固定資産税・都市計画税は(土地の価値が変わらない限り)下がることはありません。

最終的には6.2万円程度になります。

新築マンション(土地1000万円・家屋3000万円)を購入した場合の2年目以降の固定資産税・都市計画税

新築マンションに関しては、土地と家屋の評価額の比率を出すのが難しいです。

例えば、狭い敷地にそびえ建つタワーマンションだと、各戸が所有する土地の持ち分は殆どなくなり、固定資産税・都市計画税の大部分は家屋に係るものになります。

一方で、広い敷地面積に4階建てのマンションが建っているような場合ですと、各戸が所有する土地の持ち分はそれなりにあることとなります。

それでも一般的なマンションは土地の価値より家屋の価値の方が高いので、今回は土地1000万円、家屋3000万円のマンションを購入したとして固定資産税と都市計画税を計算してみました。

そしておおよその課税標準額を次のように設定します。

土地の課税標準額:500万円

家屋の課税標準額:1800万円

先ほどの戸建てと同じように、平30年(1年目)に家を購入、平成33年(4年目)に評価替えを迎えて以降3年ごとに評価替えを行います。

年数 家屋の固定資産税+都市計画税(万円) 土地の固定資産税+都市計画税(万円) 固定資産税+都市計画税(万円) 経年減点補正率
1年目 14.4 1.6 16.0 0.8
4年目 12.4 1.6 14.0 0.6912
7年目 11.9 1.6 13.5 0.6649
8年目 20.1 1.6 21.7 据え置き
10年目 19.5 1.6 21.1 0.6386
13年目 18.7 1.6 20.3 0.6123
16年目 17.9 1.6 19.5 0.586
19年目 17.1 1.6 18.7 0.5596
22年目 16.3 1.6 17.9 0.5333
25年目 15.5 1.6 17.1 0.507
28年目 14.7 1.6 16.3 0.4807
31年目 13.9 1.6 15.5 0.4544
34年目 13.1 1.6 14.7 0.4281
37年目 12.3 1.6 13.9 0.4018
40年目 11.5 1.6 13.1 0.3754
43年目 10.7 1.6 12.3 0.3491
46年目 9.9 1.6 11.5 0.3228
49年目 9.1 1.6 10.7 0.2965
52年目 8.3 1.6 9.9 0.2702
55年目 7.5 1.6 9.1 0.2439
58年目 6.7 1.6 8.3 0.2175
60年目 6.1 1.6 7.7 0.2

新築マンションの場合、土地+建物に占める建物の割合が高いため、どうしても戸建てと比べて固定資産税・都市計画税は高くなってしまいますね。

土地の場合は先ほども述べたように、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3になりますので、土地の割合が高いほど固定資産税・都市計画税は有利になります。

そして7年目に新築住宅の減額措置が切れてしまう結果、8年目に固定資産税と都市計画税は20万円を超えてしまうことになります。

かつ、経年減価補正率が60年をかけて緩やかに下がっていくので、1年目よりも固定資産税と都市計画税が安くなるのは31年目になります

「固定資産税と都市計画税はいつから安くなるのか」まとめ

シミュレーションによると、4000万円の戸建ては13年目、マンションは31年目くらいから1年目の固定資産税・都市計画税よりも安くなります。

マンションに関しては、土地と建物の割合によって固定資産税・都市計画税は大きく変動する可能性があります(土地の割合が多い方が固定資産税は安くなります)。

戸建てにせよマンションにせよ、新築住宅の減額措置が切れてしまう年が最も税金が高くなってしまいますので注意が必要です。

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