今回の記事では、先物取引を行う上で重要な用語である、「限月」と「SQ」について解説をしています。
また、「限月」および「SQ」の存在は、先物取引で長期投資を行うことを不利に働かせてしまいます。
なぜそうなるかについても併せて解説しています。
先物取引の限月とSQ(特別清算指数)とは
さて、先物とは今から将来の特定の日における取引の価格を決める行為でした。
では、先物取引を行う場合、日付の指定は任意にできるのでしょうか・・?
正解はできません。
先物取引の取引日は取引所によって定められおり、取り扱う商品によってその期日が異なります。
例えば金の先物取引ですと、清算日は偶数月(2,4,6,8,10,12月)と決められています。
そして日本の債券・株式先物取引の場合は毎年3・6・9・12月の第2金曜日、また、海外の株式先物取引の場合は同じく3・6・9・12月の第三金曜日となっています。
日本の債券・株式先物取引における、3・6・9・12月を限月(げんげつ)と呼び、この限月の第二金曜日、つまりは期限が満了となる最終価格決定日(特別清算日)のことをSQ(Special Auotation、特別清算指数)と呼びます。
つまりあなたが、日経平均先物取引を行う場合は、3・6・9・12月の第二金曜日にいくらで取引するかの価格決定をしないといけないということになります。
このSQですが、年に4回にしか無いが故にその当日と前日は先物の決済が絡み、通常よりも取引が活発になるとう特徴があります。
つまりは値動きが激しくなるということですね。
先物取引の期近(きじか)と期先(きさき)
また、限月のうち最も近い限月を「期近(きじか)」と呼び、その先の限月を「期先(きさき)」と呼びます。
例えば今が1月で、株式先物取引を行おうとするとき、3月を期近、6月以降に期限が到来するものをを期先と呼びます。
先物取引ではよく使用される用語です。
先物取引の限月はどのくらい先まであるのか
日経平均先物の場合、四半期限月(3・6・9・12月限月)の取引は最長8年先まで行われています。
しかしながら、実際に取引が活発に行われているのは直近にSQを迎える先物商品(期近)で、8年後の先物取引は出来高が少なすぎて取引が成立しません。
先物取引で長期投資するにはロールオーバーが必要
ですので、先物取引でレバレッジをかけながら長期投資を行おうと思われている方は、期近の商品を売却して期先の商品を購入することが現実的な選択肢となります。
例えば、期近が3月の場合、限月が3月の先物を売却して、限月が6月の先物を購入するのです。
要はSQが来る前に、期先の先物に乗り換えることですね。
この行動を「ロールオーバー」と呼びます。
しかしながら、このロールオーバーで長期投資を行う場合は問題が1点あります。
通常長期投資を行う場合、利益を確定しない限り税金はかかりません。
しかしながら、ロールオーバーする場合は期近の先物を一旦決済してしまうため、利益が出ている場合は税金を支払う必要があります(雑所得扱いで申告分離課税になります)。
長期投資で株をホールドしている間に株価が上昇すれば、含み益が出ていても税金を支払う必要はなく、含み益がさらに含み益を産むという好循環が生まれます。
しかしながら、先物取引のロールオーバーはその循環を断ち切ってしまうことになります。
よって、長期投資でレバレッジをかけながら資産を形成しようという方には、先物投資は不向きであると言えるでしょう。