昨今利用が急増しているホームインスペクションを利用した体験談を記事にしています。
利用した業者はさくら事務所さん、ホームインスペクションの会社の中では大手で前評判も高いです。実際に利用した内容をレポートし、費用に見合うだけの安心感が得られるのかを解説します。
さくら事務所の評判は?
ホームインスペクションで検索すると1番に出てくるのがさくら事務所さんのホームページです。
1999年創立の会社で、ホームインスペクションという言葉が流通し始めたのがここ数年であることを考えると、割と業界の中では古くから業務を行っている会社であると言えます。
インターネットでの評判は賛否両論ありますが、それはさくら事務所さんに限った話ではありません。ホームインスペクション自体がまだ世の中に浸透していないこともあり、評判も割れているのではないでしょうか。
さくら事務所さんに初めて接触したのは、購入した中古物件のインスペクションをお願いしようと考えた時です。
結果的にその時はホームインスペクションの依頼はしなかったのですが、お金のやり取りがないにも関わらず電話でアドバイスをいただき、その段階で私の中では評判は上々でした。
さくら事務所に新築ホームインスペクションを依頼した経緯
2018年4月より、消費者が安心して既存住宅の取引を行える市場環境の整備を図る目的として、宅建業法が改正されました。
これは、宅建業者が媒介契約書面に建物状況調査をする者のあっせんに関する事項を記載するよう義務付けられたもので、これにより中古住宅を購入する方に対する「ホームインスペクション」の認知度や実施率が向上し、良質な中古住宅が流通しやすくなることが見込まれます。
日本の中古住宅の流通率は低く、もっと中古住宅を活用させようという、国土交通省の願いが込められています。
実際問題、中古住宅というのは躯体部分を自分の目で確認することができないわけですから、ホームインスペクションを行わずに売買契約を取り交わすのはバクチのようなものです。
中古住宅を内覧したとしても、リフォームされたキッチンや風呂、壁紙フローリングを見ると、雨漏りやシロアリ、建物の傾きなどがあるとは想像できないものですし、こうしたホームインスペクションを利用される方は今後増えて行くだろうと思います。
今回、私が行ったのは中古住宅のホームインスペクションではなく、新築住宅のホームインスペクションです。
新築住宅であっても我々は素人ですから、手抜き工事や設計と異なる個所、建築基準法に満ちていない個所があったとしても分からないことが多いでしょう。
実際にホームインスペクションを行って、どのような問題が見つかったのか、また費用に見合う効果があったのか?
ネットで検索しても、新築インスペクションは評判があまり出てこなかったので、詳細を皆様にお伝えしたいと思います。
さくら事務所へにホームインスペクションを依頼した内容
私が今回依頼したのは、さくら事務所さんの「新築工事チェック」です。依頼したコースは標準コースで、全7回の検査が入ります。
内訳は以下の7つの検査があります。
- 基礎配筋
- コンクリート打設
- 土台敷き
- 構造金物・体力壁
- 外壁防水
- 断熱
- 完成検査(内覧会)
これらを行って支払う費用は395,000円+taxです。
正直高いです汗
しかしながら、建物自体は2,000万円程度するので、2%程度を支払って安心を買う・・そう思えば安いもの・・?
ちなみに7回チェックと言うのはフルコースでして、他にもコースが用意されているので紹介したいと思います。
構造コース(A) 施工チェック4回 |
構造+仕上げコース(B) 施工チェック5回 |
標準コース(C) 施工チェック7回 |
|
基礎配筋 | ○ | ○ | ○ |
コンクリート打設 | ○ | ○ | ○ |
土台敷き | ○ | ○ | ○ |
構造金物・耐力壁 | ○ | ○ | ○ |
外壁防水 | - | - | - |
断熱 | - | - | ○ |
完成検査(内覧会) | - | - | ○ |
料金 | 220000円+TAX | 285000円+TAX | 395000円+TAX |
それぞれのチェック項目についてはさくら事務所さんのHPで確認していただきたいです。
さくら事務所へホームインスペクションを実際に依頼するとこうなる
事前にハウスメーカーにはホームインスペクションが入る旨を了承いただき、さくら事務所に連絡をしました。
ハウスメーカーさんは少し嫌がっていましたけどね笑
「インスペクション入っていただくのは全然大丈夫なんですけどね、例えば1cm違うなどの細かい点を指摘されても対応しかねるので・・」
てな感じでした。
さくら事務所さんにはホームインスペクションを依頼する以前にも、間取り相談等のスカイプ打ち合わせで2回お世話になっていました。
1回目はハウスメーカー選びで迷っていた時、2回目では間取りや建て替えの相談をさせていただきました。
スカイプ打ち合わせは1回1万円1時間です。高額ですが、専門家と話ができる機会は無いと思い、そこは割り切りました。
ホームインスペクションの申し込みをさくら事務所さんのホームページから行うと、翌日メールで連絡が来ました。
さくら事務所さんの方でハウスメーカーとやり取りをしてくれ、インスペクションの日程調整と、いつに検査を行うかをお知らせしてくれます。
7回にわたる検査ですので、各工程ごとに「○月○日に検査が決定しました。担当は○○で××時より行います」と言った旨の連絡がメールで来ます。
一回目は基礎配筋チェックです。
検査中は立ち合いもできますが、土日に検査の日が被るとは限らないです。また、建築現場がお住まいから遠い場所だと7回も立ち合いを行うのは難しいのではないでしょうか。
私は結局1度も立ち合いを行わずに、レポートでの報告のみお願いすることにしました。
ホームインスペクション1回目の検査結果
1回目の基礎配筋チェックが入る前に、日程の事前確認のメールが入りました。
そして、検査当日は是正指摘した個所についての簡易な速報がメールで入り、2~3日後に詳細な報告書が届きます。
報告書は、検査の種類によって項目数が異なりますが、1回の検査につき概ね25~40超に渡り検査項目があり、それぞれの検査項目について検査方法と状態(検査結果)が記されています。
そうした検査全体のチェック表に加えて、下記のような個別にどういった検査を行ったかの報告書を写真でいただけます。
(黒塗り部分はさくら事務所の写真に対する検査コメントです)
1回の検査で頂ける報告書は、全体のチェック表1枚+写真付き報告書5枚程度で構成されています。
なるほど、写真付きで解説してくれるのは大変ありがたいです。前評判通り、丁寧な仕事です。
が、結局私が建築に対する知識が無いせいで、これらの報告をいただいても、理解が深まらないんですよね。
規定値を満たしているから、合格。規定を満たしていないとどういった問題があるのかはわからないので、
「建築士の人が検査してくれて安全性を担保してくれてるんだな」という感想しか得られません。結局は建築主がしっかりと建物に対して興味と知識を携えていないと「建物の安全性を自分でも感じれる」ということはありません。
結局基礎に関しては大きな問題がなく、「開口補強筋端部で鉄筋がばらついていたので結束線で鉄筋の固定をお願いした」程度の指摘で報告は完了していました。
この「開口補強筋端部で鉄筋がばらついていたので結束線で鉄筋の固定をお願いした」というのも、正直どのていどのミスなのか全くわからない・・建築士が確認してくれているのだから大丈夫なんでしょう?
という感じです。
ホームインスペクション2回目の検査結果
そんなもやもやした気持ちを抱えながら、2回目のインスペクションであるコンクリート打設へと工程は進みます。
コンクリート打設に関しては
- 鉄筋のかぶり厚が建築基準法で定める規定値を満たしていない個所がある
- 立ち上がりの幅が設計値よりも狭くなっている
ことを指摘いただき、是正してもらいました。
また、アンカーボルトが一部設計と異なる金物が使用されている個所があり、設計と同等の構造強度が確保できているかをハウスメーカーに質疑していただきました。
(黒塗り部分はさくら事務所の写真に対する検査コメントです)
後日ハウスメーカーからは、謝罪とハウスメーカー建築士から構造強度の計算書を手渡され、使用している金物でも基準を満たしている旨の回答をいただきました。
本来あってはならない間違いですが、こうして指摘が入り調査回答があったことにより、きちんと検査していただいているという安心感は得られます。
ホームインスペクション3回目の検査結果に不満が残る
一方で、3回目の土台敷チェックの部分で「ん?」と思ったことがありました。
赤い矢印の先にある丸いのがアンカーボルトです。
本来は中心部にあるべきアンカーボルトが端に寄っています。
さくら事務所のコメントには
「アンカーボルトが土台芯より大きく外れている個所がありました。工務店は構造上問題ないとの見解です。」
という旨の記載がありました。
「中心から大きくずれていて大丈夫なの・・?工務店に聞いて問題ないって・・?状態を見て問題の有無まで考察するためのインスペクションじゃないの・・・??」
と思い、担当建築士から電話をいただくことにしました。
私「報告書を見たのですが、ボルトが中心からずれているってどういうことなんですか?」
建築士「通常あまり見ないのですが、土台芯からは報告書の通りはずれています」
私「それって大丈夫なんですか?」
建築士「大丈夫とは言えないですが、建築基準法上は問題ないです」
私「私は素人なので、専門家に依頼しているのです。専門家の立場から見解を聞きたいので、インスペクションをお願いしているのですか」
建築士「建築基準法上は問題ないとしか言えないですね」
私「・・・そうですか、わかりました。」
というやりとりを行いました。
設計上のミスと建築基準法上の間違いは指摘し、是正していただけるようですが、それ以上のことはやらないという姿勢を感じました。
ここで「このまま続けるのはどうしようか・・?」という思いが湧いてきます。
確かに設計と異なる仕様であったり、建築基準法上のミスは是正されていきますが、それ以上についての説明はしてくれないわけです。
何よりも値段がポンポンだせる金額ではないですしね。
ちなみにアンカーボルトの位置については、次のようなページを見つけることができました。
一般社団法人建築よろず相談支援機構のよろずWeb相談による見解によると、間違いではあるが中小のハウスメーカー等であるとたまに見かける間違いであるそうです。
ホームインスペクション4回目の検査結果とその後
そうこうしているうちに、第4回目の構造チェックが入ります。
- 耐力壁の合板の釘打ちピッチが広い点を是正
- 柱を固定する金物のビスが浮いている
- 耐力壁を留め付ける釘の位置がおかしい
と3点の指摘が入り、是正されていきました。釘打ちやビス留めに関して不備があったので、それを指摘していただき、是正してもらいました。
第4回目もきっちりと仕事はしていただけました。
これで構造+仕上げの4回が完了したことになります。
残すは外壁防水・断熱・内覧会の3つです。
実は全7回のコースを依頼するときに、4回で終了するかもしれない旨はさくら事務所さんにお伝えしていました。
とりあえず構造の基礎となる部分をチェックしてもらい、ホームインスペクションの費用対効果が見たかったですしね。
残り3回はどうするか非常に悩みました。チェックはしてもらいたいけど、高い・・・1回6万円が高い。
外壁防水は雨漏りしたらハウスメーカーに文句を言えば良い、断熱材はアイシネンを使用していて、専門業者が施工してくれる。内覧会のチェックは自分でしよう・・
という理由をつけて、私は残りの3つはキャンセルし、さくら事務所さんのホームインスペクションは終えることにしました。
さくら事務所にホームインスペクションを依頼した感想と評判
というわけで、全4回のチェックで285,000+税を支払い私のホームインスペクションは終了しました。
全工程が終了したところで、今回行ったホームインスペクションで感じたメリットとデメリットを書いておきます
さくら事務所にホームインスペクションを依頼したことによるメリット
- 建築基準法や設計の仕様からはずれている点に関しては是正してくれる
- プロの目で検査が入ったと言う安心感が得られる
- 評判通り、丁寧に仕事はしてくれる
さくら事務所にホームインスペクションを依頼したことによるデメリット
- 建物価格の2%程度(私の場合ですが)を保険料として考えると高く感じた。
- 設計の仕様や建築基準法以外の事項に関しては、報告はするがフォローはしてくれない
- 施主が建築に対する知識に乏しい場合、満足感が得られない
- 瑕疵の無い建物ができていれば、お金を払って損したという気分になるという矛盾
ホームインスペクションを利用しようとする建築主が家に求めることは、「欠陥の無い住宅が建つこと」です。
インスペクションを利用しなくても、本来は欠陥の無い住宅は建つはずなんです。
しかしながら事故や不備のせいで、実際には欠陥のある住宅が建ってしまうこともあります。
それを防ぐための保険としてホームインスペクションを利用するのは良い選択肢だと思います。
しかしながらその保険料は全て網羅させると40万円以上と高額なものになってしまいます。
今回さくら事務所さんのホームインスペクションを利用したレポートを書かせていただきましたが、今回私が報告させていただいたような内容で、その額を払う価値があると思われる方は是非利用していただきたいと思います。
ネットでは評判が色々書かれていますが、私が実際にホームインスペクションを行った上での感想は以上です。
この記事がその判断の一助になれば幸いです。
[…] 本当に、いる方がそれぞれ、高い倫理観と有能さを備えていて、感心させられどうしでした。こちらがなかったら、うちは今頃ハウスメーカーと裁判とかしていたかもしれません(笑) 出典:内覧会.com 建築基準法や設計の仕様からはずれている点に関しては是正してくれる プロの目で検査が入ったと言う安心感が得られる 評判通り、丁寧に仕事はしてくれる 出典:真面目に効率的に0から資産を増やす方法 […]
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