日本とアメリカの人口がこれからどうなるのか、ご存知でしょうか?
日本はこれから超高齢化社会を迎えるのは有名な話ですよね。でも日本はこれから超高齢化社会どころか超超高齢化社会を迎えると言っても良いでしょう。
世界全体で出生率は低下する一方平均寿命が延びていますので、高齢化社会へ向かうことは世界のトレンドです。
高齢化社会を迎えると経済的な成長が見込みにくくなります。
日本とアメリカ、両国の将来推計人口と人口動態を解説し、どちらの国に投資をするべきなのかを人口減少という観点からまとめました。
日本の将来推計人口と経済
日本が今現在抱えている最も大きな問題の一つは人口減少です。
次の図をみてください。
これは平成29年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の総人口の予想推移です。
出生は中位で、死亡数が低位・中位・高位になったときの3パターングラフが用意されています。
噛み砕くと出生数は予想通りだと仮定し、死亡者数が予想より低い時、予想通りの時、予想より多い時、の3パターン用意されています。
2018年現在で日本の人口は1億2千600万人ですが、中位予想に従えば、30年後には1億3百万人にまで減少することが予想されています。割合で表せば、今よりも18%も人口が減少してしまうのです。
日本の合計特殊出生率(1人の女性が生涯産む子供の数)は2015年で1.46です。この数値が2.0以下になると人口は減少していきますので、1.46では当然人口は減る一方となります。
人口が減るだけでなく、高齢化も危機的状況にある日本
下の図はその時の人口に占める老齢人口(65歳以上)の割合を示しています。
2018年から30年後の2048年には、日本の人口動態は次のようになることが予想されています。
0~14歳(年少人口) | 10.6% |
15~64歳(生産年齢人口) | 52.0% |
65歳以上(老年人口) | 37.4% |
労働力の中核となる生産年齢人口(15歳~64歳)と老齢人口(65歳以上)の割合は52:37.4です。
15歳~64歳1.4人で65歳以上の老人1人を支えていかなければならないのです。少し考えれば、「そんなの無理」なことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
社会保障費用が莫大なものになっていることが予想され可処分所得も激減するのではないでしょうか?それはつまり経済の疲弊を意味します。
参考までに日本の2015年から2050年までの将来推計人口と人口動態の表を貼らせていただきます。
2015年から2050年までの将来推計人口と人口動態
年 次 | 人 口(1,000人) | 割 合(%) | ||||||
総 数 | 0~14歳 | 15~64歳 | 65歳以上 | 0~14歳 | 15~64歳 | 65歳以上 | ||
平成 27 | (2015) | 127,095 | 15,945 | 77,282 | 33,868 | 12.5 | 60.8 | 26.6 |
28 | (2016) | 126,838 | 15,771 | 76,482 | 34,585 | 12.4 | 60.3 | 27.3 |
29 | (2017) | 126,532 | 15,587 | 75,782 | 35,163 | 12.3 | 59.9 | 27.8 |
30 | (2018) | 126,177 | 15,413 | 75,158 | 35,606 | 12.2 | 59.6 | 28.2 |
31 | (2019) | 125,773 | 15,235 | 74,622 | 35,916 | 12.1 | 59.3 | 28.6 |
32 | (2020) | 125,325 | 15,075 | 74,058 | 36,192 | 12.0 | 59.1 | 28.9 |
33 | (2021) | 124,836 | 14,900 | 73,550 | 36,386 | 11.9 | 58.9 | 29.1 |
34 | (2022) | 124,310 | 14,702 | 73,130 | 36,479 | 11.8 | 58.8 | 29.3 |
35 | (2023) | 123,751 | 14,484 | 72,683 | 36,584 | 11.7 | 58.7 | 29.6 |
36 | (2024) | 123,161 | 14,276 | 72,181 | 36,704 | 11.6 | 58.6 | 29.8 |
37 | (2025) | 122,544 | 14,073 | 71,701 | 36,771 | 11.5 | 58.5 | 30.0 |
38 | (2026) | 121,903 | 13,867 | 71,231 | 36,805 | 11.4 | 58.4 | 30.2 |
39 | (2027) | 121,240 | 13,684 | 70,716 | 36,840 | 11.3 | 58.3 | 30.4 |
40 | (2028) | 120,555 | 13,502 | 70,147 | 36,905 | 11.2 | 58.2 | 30.6 |
41 | (2029) | 119,850 | 13,353 | 69,507 | 36,990 | 11.1 | 58.0 | 30.9 |
42 | (2030) | 119,125 | 13,212 | 68,754 | 37,160 | 11.1 | 57.7 | 31.2 |
43 | (2031) | 118,380 | 13,028 | 68,353 | 37,000 | 11.0 | 57.7 | 31.3 |
44 | (2032) | 117,616 | 12,862 | 67,557 | 37,197 | 10.9 | 57.4 | 31.6 |
45 | (2033) | 116,833 | 12,713 | 66,738 | 37,383 | 10.9 | 57.1 | 32.0 |
46 | (2034) | 116,033 | 12,579 | 65,861 | 37,592 | 10.8 | 56.8 | 32.4 |
47 | (2035) | 115,216 | 12,457 | 64,942 | 37,817 | 10.8 | 56.4 | 32.8 |
48 | (2036) | 114,383 | 12,344 | 63,954 | 38,084 | 10.8 | 55.9 | 33.3 |
49 | (2037) | 113,535 | 12,239 | 62,905 | 38,391 | 10.8 | 55.4 | 33.8 |
50 | (2038) | 112,674 | 12,137 | 61,813 | 38,724 | 10.8 | 54.9 | 34.4 |
51 | (2039) | 111,801 | 12,037 | 60,748 | 39,016 | 10.8 | 54.3 | 34.9 |
52 | (2040) | 110,919 | 11,936 | 59,777 | 39,206 | 10.8 | 53.9 | 35.3 |
53 | (2041) | 110,028 | 11,833 | 58,877 | 39,318 | 10.8 | 53.5 | 35.7 |
54 | (2042) | 109,131 | 11,726 | 58,053 | 39,352 | 10.7 | 53.2 | 36.1 |
55 | (2043) | 108,229 | 11,616 | 57,268 | 39,346 | 10.7 | 52.9 | 36.4 |
56 | (2044) | 107,326 | 11,501 | 56,539 | 39,285 | 10.7 | 52.7 | 36.6 |
57 | (2045) | 106,421 | 11,384 | 55,845 | 39,192 | 10.7 | 52.5 | 36.8 |
58 | (2046) | 105,518 | 11,264 | 55,207 | 39,046 | 10.7 | 52.3 | 37.0 |
59 | (2047) | 104,616 | 11,142 | 54,580 | 38,894 | 10.7 | 52.2 | 37.2 |
60 | (2048) | 103,716 | 11,019 | 53,948 | 38,749 | 10.6 | 52.0 | 37.4 |
61 | (2049) | 102,819 | 10,894 | 53,331 | 38,594 | 10.6 | 51.9 | 37.5 |
62 | (2050) | 101,923 | 10,767 | 52,750 | 38,406 | 10.6 | 51.8 | 37.7 |
内閣府による、人口減少・超高齢化社会の経済的影響についてのコメント
また、内閣府はHP上で人口急減・超高齢化に対して次のように回答しています。
Q11 人口急減・超高齢化は経済成長にどのように影響しますか。
A11
●経済成長への影響
人口規模、人口の急減及び人口構成が経済成長にどのような影響を与えるかについて、経済成長を考える際に一般的な考え方である成長会計に基づいて考える。成長会計では、経済成長を決める要因は、労働投入、資本投入及び全要素生産性であるとされる。
人口が減少することは、労働投入の減少に直接結びつく。技術進歩などによる生産性上昇に伴って成長率が上昇するのに加えて、人口増によって労働力人口が増加して成長率が高まることを「人口ボーナス」と呼び、この反対の現象を「人口オーナス」と呼ぶ。今後、人口オーナスに直面し、成長率が低減することが懸念される。また、人口減少は資本投入へも影響を及ぼす。例えば、人口が減ることで必要な住宅ストックや企業における従業員1人当たり資本装備は減少することになる。また、高齢化が進むことで、将来に備えて貯蓄を行う若年者が減少し、過去の貯蓄を取り崩して生活する高齢者の割合が増えることで、社会全体で見た貯蓄が減少し、投資の減少にもつながる。
生産性についても、生産年齢人口が増えていく経済と減っていく経済について比較すると、生産年齢人口が減っていく経済では生産性が落ちる可能性が指摘されている。例えば、人口規模が維持されれば、多様性が広がり、多くの知恵が生まれる社会を維持することができる。また、人口構成が若返れば、新しいアイディアを持つ若い世代が増加し、さらに経験豊かな世代との融合によってイノベーションが促進されることが期待できる。逆に言えば、人口が急減し、高齢化が進む社会においては、生産性の向上が停滞する懸念がある。
実に分かりやすい回答だと思います。
人口減少は経済に対して悪影響を与えることが予測され、日本経済はこれから縮小していくことが予想できます。
アメリカの将来推計人口と経済
一方、世界一の経済大国アメリカ合衆国の将来推計人口はどうなっているのでしょうか?次の図をご覧ください。
この図はアメリカの人口予測です。日本と異なり、順調に人口は伸びて行きます。
出生率は日本と同様2を切っており2015年で1.84なのですが、アメリカは移民を受け入れているため、人口は減少しません。
多民族社会ならではですね。
では人口動態はどうでしょうか?日本と同様、高齢化社会が待ち受けているのでしょうか?
次の図をご覧ください。
こちらは2050年の人口動態予測になります。
0~14歳(年少人口) | 17.5% |
15~64歳(生産年齢人口) | 61.3% |
65歳以上(老年人口) | 17.5% |
65歳以上の人口が14~21%になると高齢社会と言われますので、アメリカもやはり高齢社会になることが予想されています。
しかしながら日本の2050年における65歳以上の割合は37.4%です。
21%を超えると超高齢社会と呼ばれますが、日本はそれをはるかに超える高齢化が待っているのです。
それに比べるとアメリカの人口動態および付随する経済状況は悪くないと言えるでしょう。
日本とアメリカ、どちらに投資をしたいですか?
私は近年株式投資資金の殆どを長期投資に費やしています。
長期投資を考える時、20年以上先にも経済的な発展性が見込まれる国へ投資することを考えます。
日本は先進国であり親切な国民性、低い犯罪率、成熟した文化など素晴らしい点があり、日本に生まれてきたことは幸福だと思います。
しかしながらこれから先の人口動態を考えると経済的成長は見込みにくく、投資先としては不適切であると考えています。
ですので私は日本人ですが日本に投資するのではなく、殆ど経済大国第一位のアメリカへ長期投資しています。
皆さまはいかがでしょうか?
日本に生まれたと言う理由だけで、日本の株式を買う必要は無いと私は思います。
日本とアメリカの将来推計人口と経済まとめ
世界のトレンドとして出生率は低下しており、いずれの国も近い将来少子高齢化社会に直面する。
しかしながら国によって差異はあり、アメリカの高齢化は緩やかである。それは合計特殊出生率が1.84とそれほど低くないことに加え、移民を受け入れているからである。
日本は30年後、高齢化率37.4%にもなり、1.4人で高齢者1人を支えて行く必要がある社会を迎える。
このままでは経済成長という点に於いては見通しは暗い。