今回は、NISAを始めようとする方が悩まれるであろう「一般NISAとつみたてNISAどちらが良いの?」という疑問にお答えしていきたいと思います。
「つみたてNISAは資金を分散して投資させるので、リスクが低い」と言われますが、本当にそうなのでしょうか?いくつかの条件を設定してシミュレーションしながら解説をしていきたいと思います。
一般NISAとつみたてNISA、違いを比較
一般NISAとつみたてNISA、個別記事については書いていますので、「NISAって何?」という方はそちらを参照していただけると助かります。
https://majimetoushi.com/%ef%bd%8e%ef%bd%89%ef%bd%93%ef%bd%81%e3%81%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%8b/
一般NISAとつみたてNISAの違い
ここで一般NISAとつみたてNISAの違いをみていきましょう。
一般NISA | つみたてNISA | |
年間投資限度 | 年間120万円まで(2014年~2023年) | 年間40万円まで(2018年~2037年) |
運用期間 | 最長5年間 | 最長20年間 |
投資機会 | 年内の任意のタイミング | 定められた一定の間隔で |
投資対象 | 幅広い株式銘柄・投資信託・ETF | 金融庁が定めた長期分散型投資信託またはETF |
注目するべきなのは年間投資限度額と投資期間です。
一般NISAは年間投資額こそ多いものの、投資期間は最長5年間です。
逆につみたてNISAは年間投資額は40万円ですが、投資期間は最長20年間可能です。
どちらの制度を利用するべきなのでしょうか?
一般NISAとつみたてNISA、拠出条件を合わせてどっちが良いのか比較検討
一般NISAとつみたてNISAを比較検討するにあたり、条件を同一にするため、まずは総投資金額を決めます。
一般NISAは2023年までしか拠出を行うことができませんので、2019年~2023年の5年間限度額まで投資を行うとすると、120万円×5=600万円の拠出が行えます。
つみたてNISAはこの条件に合わせて、2019年~2037年までの20年間、毎年30万円、30万円×20=600万円を拠出することとします。
一般NISAとつみたてNISA、600万円の投資を行った時、それぞれどのような差が生まれるのでしょう?
一般NISAは5年間の非課税運用期間が終了した後、課税口座へ移管させて、そのまま2037年まで運用を続けるものとします。
毎年6%の利回りで運用した場合、16%の利回りと4%の下落を交互に繰り返した場合
条件
- 毎年6%の利回りで運用できた場合
- 16%の利回りと4%の下落を毎年交互に繰り返した場合
をそれぞれ
- 一般NISAで120万円×5年間投資し、その後は新規投資を行わず課税口座で運用を続ける
- つみたてNISAで30万円×20年間運用を続ける
2つの場合でどのような違いが生まれるのかをグラフにしました。
どうでしょうか?
いずれの場合も一般NISAがつみたてNISAの成績を大きく上回っていますね。
つみたてNISAは2年に1度4%下落したところで購入しているので、平均購入価格は一般NISAより低いはずです。
しかしながら、一般NISAは最初の5年間で600万円もの投資をしているため、6年目以降も複利効果を得ながら順調に資産を伸ばしています。
つみたてNISAは4%安い価格で購入できたとしても20年ではその差を埋められません。
6%の利回りを毎年得た場合は約550万円、16%の利回りと4%の下落を交互に繰り返した場合は約470万円ほどの差が出ています。
因みに、一般NISAの場合は6年目以降順次非課税口座から課税口座へ移管していっていますので、その利益に税金がかかります。
運用開始後20年目に全ての利益を確定した場合、毎年6%運用した場合の税金は約180万円、16%の利回りと4%の下落を交互に繰り返した場合は約144万円の税金が発生します。
その税金を加味しても、一般NISAはつみたてNISAよりも大きな優位性を確保したままです。
運用をはじめて6年目に大きな暴落があった場合
このままでは一般NISAが有利ということで終わってしまいそうですので、より一般NISAが不利となる条件で検証してみましょう。
一般NISAで投資をしていて最も困るのは、積立が終了した翌年に暴落が起きることです。
600万を積み立てた直後に暴落が起こってしまうと資産が一気に減少します。
運用開始6年目に40%の暴落があったケース
まずは6年目に40%の暴落があった場合のグラフを見てみましょう。
1~5年目までは10%の利回り、6年目に40%の暴落、その後は年5%の利回りで運用をしています。
6年目に、一般NISAの大幅な下落が見られます。
しかしながら、それでもなお一般NISA有利な状況です。しかし、ここに税金を加味すると立場は逆転します。
20年目の一般NISA の口座は957万円、つみたてNISAは892万円です。
20年目に一般NISA口座を全て清算させた時の税金は約70万円です。
税金を加味すると一般NISAの利益は887万円となり、若干つみたてNISAが有利な状況となります。
運用6年目に50%の暴落があったケース
次に、6年目に50%の大暴落があった場合のグラフを見てみましょう。リーマンショック級の下落があった場合です。
1~5年目までは10%の利回り、6年目に50%の暴落、その後は毎年5%の利回りで運用をしています。
さすがにこの状況だと、状況の逆転がみられます。
つみたてNISAは値段の低い所で着実に積み立てを行っているので、19年目で一般NISAよりも高いパフォーマンスを得ることができます。
さらに一般NISAは暴落時に課税口座へと移管していますので、20年目に利益を確定すると利益に対して20%の税金がかかり、つみたてNISAがより優位となります。
具体的に計算をすると、一般NISAの税金は約52万円、運用20年後の一般NISAの総資産は798万円、つみたてNISAは847万円ですので、税金を加味すると一般NISAの総資産は746万円となり、
つみたてNISAの方が101万円得をするということになります。
一般NISAとつみたてNISA、どっちが良いのか比較検討した結果
いくつかのケースで、一般NISAとつみたてNISAのシミュレーションを行いましたがいかがでしたでしょうか?
一般NISAの投資額が膨らんだ段階で、リーマンショック級の暴落が合った場合はつみたてNISAの方が優位になるということがおわかりいただけたかと思います。
しかしながら、例えば暴落がNISAを開始して2年目に起こったり、6年目以降に起こったような場合だと一般NISAの方が優位になります。
つまり、一般NISAが不利となる状況はあまり起こり得ない限られた状況においてのみです。
ただ、5年間で600万円の投資をできる資金を持っている方が多いかというと、限られてくると思います。
ですので、
短期間に集中して資金を投入できる資産をお持ちの方は、一般NISAを、そうでない方はつみたてNISAでの運用をおすすめいたします。